オーストラリアで人気の「オーペア(Au Pair)」をご存知でしょうか?
家族の一員として住み込みで育児を手伝うこの制度、一見華やかですが、実は相当なタフさが求められるようです。
ニューサウスウェールズ州の裕福な家庭でオーペアを経験した娘から届いたのは、豪華なマスタールームでの生活……ではなく、衛生観念や食習慣をめぐる「しつけバトル」の報告でした。
現地のリアルな体験談を通して、オーストラリア文化の意外な一面をご紹介します。
オーストラリア東海岸に位置する、国内最大の人口を誇るニューサウスウェールズ州。
私の娘が最初のオーペア(Au Pair)先として選んだのは、州都シドニーから南へ車で2時間ほど走った街でした。
オーペアとデミペアって何?
娘が経験した「オーペア」という言葉、日本ではあまり馴染みがないかもしれません。
簡単に言うと、海外の家庭にホームステイをしながら、家事や育児をお手伝いする代わりに「滞在費」や「食費」を免除してもらう制度のことです。
よく外国映画で、若い女性が住み込みで子供の面倒を見ている「ベビーシッター」のシーンが出てくるかと思いますが、まさに「それ」をイメージしていただくと分かりやすいかもしれません。
大きく分けて2つのスタイルがあります。
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オーペア(Au Pair) フルタイム(週30〜40時間程度)でお手伝いをするスタイルです。滞在費・食費が無料になるだけでなく、さらにお給料(お小遣い)が出るのが一般的です。
娘はこのスタイルで、住み込みでしっかりとファミリーを支えていました。 -
デミペア(Demi Pair) 「デミ」は半分という意味で、パートタイム(週15〜20時間程度)のお手伝いです。
滞在費と食費は無料になりますが、お手伝いの時間が短い分、基本的にお給料は出ません。
語学学校に通いながら両立したい人に人気のスタイルです。
どちらも「家族の一員」として迎え入れられるため、現地のリアルな生活や文化を肌で感じられるのが最大の魅力です。
オーストラリアで憧れの生活と、最初の壁
滞在先は、軍のパイロットのパパとナースのママ、そして3人の育ち盛りな兄妹(5歳、7歳、10歳)がいる家庭。
まさに海外映画のような設定に、親としても「貴重な経験になるだろう」と送り出しましたが、現実は甘くなかったようです。
特に「食」に関しては、大きなカルチャーショックの連続でした。
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「もったいない」の不在: 一生懸命作ったお弁当を一口も食べずに残され、それをママが平気でゴミ箱へ捨てる姿。
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食の単調さ: 日本のような豊かな食文化はなく、毎日同じものを食べ続ける習慣。
実はこの頃、娘はお弁当作りや慣れない環境のストレスから、なんと10円はげができてしまったそうです。
慣れない異国での「食」の壁は、それほどまでに彼女を追い詰めていたのかと思うと、胸が痛む思いでした。
徹底した「マイルール」と驚きの生活習慣
生活環境自体は非常に恵まれていました。専用のバス・トイレ付きの「マスタールーム」が与えられ、さらには**「オーペア専用車」**まで用意されていたのです。
【アドバイス】 オーストラリアの地方都市では車が必須。
娘の経験からも、渡航前に国際免許証は絶対に取得しておくべきだと痛感しました。
一方で、生活習慣の違いには驚きの連続でした。この地域では朝が非常に早く、夜6時には店が閉まり、子供たちは7時に就寝します。
寝る時間には厳しい反面、**「iPadの使用時間がほぼ無制限」**という状況に、娘は強い違和感を覚えたようです。
オーストラリアの衛生観念としつけへの挑戦
生活環境は豪華で、専用のバス・トイレ付きの「マスタールーム」が与えられ、滞在費も食費も無料。
しかし、そこで目にしたのは、食事中もiPadを手放さず、帰宅しても手を洗わない子どもたちの姿でした。
娘は「これだけは良くない」と一念発起。
「Wash your hands!」 「Wash your hands first, then you can have a snack. 」 と厳しく伝えると、最初は泣き喚いて抵抗されたそうです。
それでもお弁当箱を自分で出すようにしつけを続け、最後には自分から手を洗い、お弁当箱を片付けてくれるまでになりました。彼女の粘り勝ちですね。
アジア人がいない環境での自立
この地域(ニューサウスウェールズ州の郊外)では、**「アジア人を全く見かけない、日本人には一度も会わない」**というレベルの環境でした。
そんな完全なアウェイの中でも、彼女はさらに一歩踏み出します。
生活に慣れてきた頃には、近所のカフェでキッチンハンドや皿洗いのアルバイトを始めたのです。
オーペアの仕事と両立しながら、現地のコミュニティに自ら飛び込んでいく姿には驚かされました。
日本人には信じられない「究極のプライベート重視」
滞在中に一番驚かされたのは、ママが友達と2週間のニューヨーク旅行に出かけてしまったことです。
パパと子どもたちの世話を、出会ったばかりの「素性もはっきりしない異国の小娘」である娘にすべて任せて……。
日本ではなかなか考えられないことですが、自分のプライベートを何より大切にするその姿勢は、驚きと共に、どこか新鮮で羨ましくも感じたと言います。
親として思うこと
「郷に入っては郷に従え」とは言いますが、違う文化の中でも自分の信念を持って子どもたちと向き合った娘。
10円はげを作るほどの苦労を乗り越えた経験は、彼女にとって一生の財産になったはずです。
次は、そんな過酷(?)ながらも充実していたオーペア生活を終えた後の、娘の次なるステップについても聞いてみたいと思います。

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